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【市民ライター企画】天竜まちあるき(後編)星野榛花さん

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浜松市北部に位置する、天竜区。天竜と聞くと、何となく「田舎」というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?

私は浜松で暮らし始めて7年目を迎えますが、普段天竜を訪問する機会はなく、天竜といったら、未知の場所でした。そんな中、今回は市民ライターとして天竜を訪問、様々な場所でお話を聞く機会をいただき、天竜ってこんなに面白い場所なんだ!と新たな発見をすることができました。

この記事を通して、より多くの人たちにこの面白さ、魅力を発信できたらと思います!

 

目立たないようで、目立つ

最初に訪問した場所は、「Kissa&Dining山ノ舎」。人が集まる”場“を作りたかった。そう話す代表の中谷さんは、中学高校時代を天竜で過ごし、大学入学とともに上京したといいます。大学卒業後もそのまま東京の不動産会社で働いていた中谷さんが、なぜ天竜に戻り飲食店をやろうと思ったのでしょうか? 

― 知っている天竜ではなくなっていた。

久しぶりに帰省をした際に、昔のお店が閉まっていたり、商店街の人通りが減っている天竜の様子を見て、居ても立っても居られなかったといいます。何か自分にできないか、かつての活気を取り戻せないか、そんな思いから今の「山ノ舎」をスタートさせたそうです。

人が集まる“場”。その言葉通り、人と会い話をするために来る人、少し仕事をしに来る人など、あらゆる目的を持った人たちが、そこにはいました。通りがかりに気がつくような目立つ場所ではありませんでしたが、その界隈で知らない人はいないと言っても過言ではないくらい、目立っているような感じがしました。

ちょっと来てみた、寄ってみた、そんな気軽に立ち寄れる“コミュニティの場”が、人との距離の近さを生み出しているのかもしれません。

ユニークな発想で、まちを盛り上げる

続いて訪問したのはINN MY LIFEという天竜浜名湖鉄道の二俣本町駅にある駅舎ホテル。

駅舎を改装してホテルにするという、何とも新しい発想。こちらも「山ノ舎」代表の中谷さんが手掛けました。遠州織物を使用したパジャマや地元の食材を使用した食事など、地域の魅力がぎっしり詰まっています。

同じ浜松市でも、まちなかでは見たことのない独創的なホテル。普段の生活から離れ、別の角度から浜松を見ることができます。こういった斬新なアイデアが面白く、人を寄せ付ける一つの要因なのだとしみじみ感じました。

 影響を受けた人たちが、集まる場所

包商店。初めて天竜に来た人は、お店の外観や名前を見て、何のお店だろう?と思うかもしれません。ここは、古民家をリノベーションしたジェラート屋さん。白を基調としたシンプルな内装、観葉植物を囲む開放的な空間がとても印象的でした。

「アイスを売る」というよりも、「時間と空間を売っている。」そう語るのは、店主の西村さん。先ほど紹介した駅舎ホテル INN MY LIFE のディレクターとして天竜に通い始め、魅力に惹かれてここに自身のお店を開くことを決めたそうです。

提供するアイスにもこだわりがあり、”旅する八百屋”と呼ばれる「青果ミコト屋」さんの自然栽培の野菜を使用しています。中でも、廃棄されるはずの野菜を使用して、フードロス対策としているんだとか。

目指すのは“行列が出来るお店”ではなく、“ゆっくりと時間を過ごせる場所”。もっと天竜を知り、人流を増やしたいという思いがある一方で、この天竜特有のスローペースな空気感を保っていきたいという、熱い想いが伝わってきます。

一つの取り組みを通して天竜ファンができ、またその人たちが新しい天竜ファンを作っていく、そんな流れがあるような気がしました。

伝統を、守り抜く

時代は変わるもの。新たな取り組みで天竜のまちを盛り上げる人たちがいる中、伝統を守りぬく人たちもいます。その一人が、古民家ギャラリー「マルカワの蔵」をご夫婦で経営する本島慎一郎さん。

マルカワの蔵では、地域物産の販売や地元の作家さんたちの作品を展示しています。消え入らんとする伝統を守り続けたいという思いから、一枚の紙を使って複数の鶴を切り離さずに折る連鶴教室も開催。

最近は、県外から来る人や、若い人とのつながりも増えてきたといいます。ギャラリーに並ぶお菓子や、竹細工の雑貨は何となく懐かしさを感じさせるものがありました。

こういった場がなくなることなく、今後も私たちの生活の中で存在し続けていって欲しいと思います。今後は、浜松がリーダーシップを取って三遠南信を盛り上げていきたいと話す本島さん。大切な歴史を次世代に語り継いでいく、貴重な存在となっていくでしょう。

 

誰もが感じる、天竜の魅力とは

これまでいくつかの場所を紹介してきましたが、一日を通して実感した天竜の魅力は何と言っても「人」「空気」「時間」だと素直に感じました。

この記事だけでは訪問した全ての場所を紹介しきれませんが、道行く人たちが声を掛け合う様子、緑豊かな自然、ゆっくりと流れる時間が、何とも不思議な感覚でした。

人口減少、過疎化、、そんなイメージを持つ人が多い天竜ですが、ここは「人が場所を生み、その場所がまた新しい人を呼ぶ」そんな素敵な場所です。

実際に一度行ってみないと分からないものがあります。“遠い”というイメージを持って何となく行くのを避けている方は、是非その概念を捨てて一度訪問してみてください。心穏やかな、優しい空気感を味わうことができます!

 

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