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【市民ライター企画】浜松まちなかまちあるき(前編)鈴木萌子さん

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自己紹介

こんにちは、鈴木萌子です。私は千葉県出身、普段は絵描き・アクセサリー制作の仕事をしています。昨年までは東京近郊を生活拠点にしていましたが、昨年夫の地元である浜松に引っ越して来ました。

今回ご縁があり、リノベーションまちづくりの市民ライターを務めることになり、市役所の方のアテンドのもと、浜松まちなかのまちあるきをさせて頂きました。普段車で通り過ぎてしまいがちなまちなかを、ゆっくりと歩きながら見て回り、まちなかのリノベーション事例をいろいろと知ることのできた楽しい1日でした。

まちあるきを通して見えたリノベーションの世界

何度か訪れたことのあったカルチャースポット「KAGIYAビル」以外にも、長坂養蜂場の「はちみつスイーツアトリエ」、クラフトビール店「オクタゴン」など改めて食べに行きたい美味しそうなお店を教えて頂きました。小さな屋台コミュニティ「肴町Little」は、もともと気になっていた場所なのですがなかなか営業中に遭遇できなかったので今回お店を見られて嬉しかったです。これを機にinstagramをフォローしました。

コワーキングスペースの「Any」と「Dexi」は、自宅以外のサードプレイスを求めている私としてはとても気になる場所。使えそうな機会ができたら改めてお邪魔しようと思いました。店内を覗かせて頂いた「Dexi」は、塗装やインテリアの色使いがオシャレで気分転換しながらの仕事場に良さそうです。

ほしの市を主催している「㈱浜松家守舎CON」と、サザンクロス商店街にオープンした「双子座文具店」では、女性の店主さんの新しいことをするパワーをたくさん感じることができ、私もなにかご一緒したい…!と、わくわくした気持ちになりました。

浜松まちなかの隠れた魅力に気づく

浜松まちなかは、徒歩で回れる距離にいろいろな試みをする人や場が点在しているというのが魅力だと感じました。平日の昼間は閑散としているようでも、まちなかから一歩静かな路地に入れば、「みかわや|コトバコ」や「双子座文具店」などの素敵な場所に遭遇できる。すっかり車社会に慣れ、まちを歩くことが減っていたので、のんびり散歩しながら自分のお気に入りの場所やお店を探してみたいと思いました。

また、リノベーション、と一口に言っても、大小様々な規模感があったり、様々な形態(幅広い人の交流の場になる役割のところもあれば、小さい店内で専門的な魅力を届ける役割のところもあったり)があることを知り、一言では括れない広い世界なんだな、と感じました。

まちあるきの中で、リノベーション(私の解釈では、古い建物を活用してあたらしいコトをする試み)を通して、自分流の場所作りを模索しながら楽しむ人たちに、色々とお話をお伺いすることができました。

みかわや|コトバコ 

コトバコの管理人をしている大端将さんは、前職の住宅メディアの運営に関わる中で日本の住宅事情に疑問を持ち、より良い住まいや街のあり方をご自身で模索されているようでした。既にたくさんの空き家がある中で、耐久年数の低い新築を建てたがる日本の住宅事情。

それに対して大端さんは、よい家作りをしている住宅会社を支援したり、既にある古い建物の活用をしたり、家にまつわる消費者への教育活動(家づくり相談所)などを通して、少しずつ現状を変えていこうとしているようでした。

大端さんが中心となり、リノベーションスクールを通じて出会った仲間と共に、閉店休業していたミカワヤさんの店内を片づけ、リノベーションして再生した「みかわや|コトバコ」。思いを共有する様々な事業者さんと場所と時間を分け合い、運営されているようです。

事業者の内訳は食堂・製本・野菜・英会話などジャンルが多岐にわたっているのが面白いなと思いました。私たちが伺った時は食堂の店主が主催する「食べられる野草の講座」が開催されており、主婦層の女性たちで賑わっていました。

木の骨組みが見える無骨さとあたたかさの入り交じるコトバコの空間は、新築では作れない風景で、なんとも居心地が良く、壁面に並んだたくさんの本にはわくわくしました。

古い木材と新しい木材を交互に組み合わせてデザインされたテーブルが、新旧が混ざり合う空間を象徴しており、ここに来れば何かありそうな空気、が流れていました。

町の中でのコトバコの機能

コトバコの中では日々、食堂に近所の老若男女が立ち寄り、製本教室にはものづくり好きな若者が集い、英会話教室には外国人が訪れているようです。地元の人はもちろんそれ以外の人も含む様々な人たちの、偶発的な出会いの場として機能しているように見えました。

従来ならばあり得ることの無かった種類の出会い、それは今とくに得難いものだからこそ、「みかわや|コトバコ」の立ち位置は希有なものに感じました。建物や人がなんとなく留まっていた状態から、大端さんのアクションによって尾張町の一角に小さな磁力が発生しているように感じました。

リーダーのいない集合体としてのコトバコ

私も異業種の事業者が集う小さな集合体に関わっていたことがあり、全員が同じ方向を向いて活動することの難しさを痛感した経験があります。大端さんに「ここのリーダーは誰ですか?」と質問したところ、「リーダーはいません笑」と答えて下さったのが印象的でした。

粘菌のように、それぞれが自分の活動を活性化させるなかで連携し、前進して行くイメージなんだそう。有機的なつながりの中でそれぞれの持ち味が引き出されているとしたら、なんて素敵な場所だろうと思いました。そんな環境を用意した大端さんの存在は、やはりこの場所の要なんだなと改めて思いました。

三米アトリエ

三米アトリエの三浦京子さんは、嫁ぎ先の丸喜屋商店の運営をしながら、三米アトリエでの講座やイベントを企画されているパワフルな女将さん。

現在は(コロナの影響もあり通常通りではないが)お出汁を使った講座やワークショップを企画する他、過去にはコンサートや展示などの企画もしてきたそうです。

もともとは海産物屋だった三米商店。しばらく閉店していたところを、2010年頃に建築学生が訪れ、彼らに建物の魅力を指摘されたのをきっかけに、使われていなかった店内をアトリエにリノベーションし、再生させたそうです。

戦火を免れた後に新たに商店などに活用されている小樽の町並みなどから学び、アトリエ内は昭和30年生まれのレトロな魅力を生かした空間になっていました。

奥にある小庭から風が通り抜ける店内は天井も高く開放感があり、畳の小上がりや障子の佇まいに思わずホッとします。私たちが訪れた時にちょうど小庭の小さな木に太陽が降り注いでいて、小さなオアシスのようでした。

町の中での三米アトリエの機能

建物の力と三浦さんの好奇心とが相まって、建築好きや料理好き、昭和レトロを好む人たちが集うプラットフォームになっているようでした。若い人や異業種の人たちの意見に耳を傾け、既にあるモノの価値に気づき、楽しみを見出し、人と人を繋いでいく三浦さん。最近おきた色々なコラボレーションを楽しそうに語ってくれました。

既にある宝物を、大切に磨いていく

店の奥にはまだ色々な片付かない棚や什器が眠っていて、それらを説明する三浦さんは少し困ったような、でもなんだか嬉しそうな顔をしていたのが印象的でした。嫁いだ当初は膨大な不要物に見えていたかもしれないものが、今は小さな宝物に写っているようでした。

様々な人との関わりの中で、古き良きものの価値を知り、それらを活かした場づくりをされてきた三浦さんにとって、三米アトリエは宝を秘めた我が子であり、共に歩んで来た友人のような存在なのかな、と思いました。

魅力ある建物が、三浦さんとの出会いによって発掘され、磨かれ、さらに魅力溢れる、持続可能な場所になっていること。それは町にとっても、そこに住む人たちにとっても幸せな状態のように感じました。

大端さんと三浦さんのお話を聞いて

小さな違和感や気づきをきっかけに、自分の求める心地よい居場所を自分でかたち作っているお二人の話す姿は、とても生き生きしていて眩しかったです。その眩しさに惹かれて引き寄せられた人たちが、小さな渦をつくり、その渦がだんだんと大きくなっていった先にはどんな世界があるのだろう、と想像したら、わくわくしている自分がいました。

新築という型に捕われず、リノベーションという発想から広がる様々な人と人との繋がり方と、その可能性を見ることができ、楽しく有意義なまちあるきでした。

私も自分の求める心地よい居場所を探すことから、始めてみようと思います。

 

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