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【市民ライター企画】リノベーションスクール物件提供者からみた浜松のまちづくり

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市民の方がリノベーションまちづくりに関わる面白い方にインタビューし、記事を執筆する「市民ライター企画」。2022年度は、2人のライターに3つのテーマで取材・記事を執筆いただきます。
今回は、過去にリノベーションスクールに物件提供をしていただいた物件オーナーさんにお話を伺いました。

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こんにちは、浜松市役所職員でリノベーションまちづくりを担当しているEです。今回は代打でリノベーションスクールに物件をご提供いただいた、物件オーナーの鈴木さんにお話を伺いました。鈴木さんには第6回・第8回の計2回、リノベーションスクールに物件提供をいただきました。

リノベーションスクールに物件提供するきっかけ

市役所から、私の持っている物件をリノベーションスクールの題材にしませんか?というお話をいただいたのがきっかけです。行政で活用してもらえるのであれば、断る理由がないと思い、物件提供に至りました。リノベーションスクールには2物件提供させていただきました。

第6回リノベーションスクールに提供した物件は、洋服屋さんや物販、ハンバーガー屋さんなど、これまで様々な事業者が入居していました。事業主が2階を住居として使用していたこともあり、1階と2階では雰囲気が違います。

▲ 左から 外観 ・ 1階 ・ 2階

第8回リノベーションスクールに提供した物件は、祖父母が住むために建築したものです。家の柱には材木屋だった父がこだわった木を使用しています。2階には縁側もあります。

▲ 左から 外観 ・ 1階 ・ 2階の縁側

残念ながら2物件ともスクール後に事業は実現しませんでした。しかし、その後市役所の紹介で第6回リノベーションスクールの物件にNPO法人レッツが入居し『ちまた公民館』※として活用しています。

※ちまた公民館とは、NPO法人レッツが運営する誰でも立ち寄ることができる交流の場
 http://cslets.net/hotnews/news-1539

新しく事業者が入って

▲ ちまた公民館(NPO法人レッツ HPより抜粋)

レッツの『ちまた公民館』の取り組みは面白いなと思っています。以前近所の知り合いから、「ちまた公民館がどんな場所か分からなかったが、子供が利用していたので行ってみました。行ってみるととても良い場所でした。」と言われました。誰が来てもウェルカムというスタンスで事業をしてくれているようです。

福祉の場所は利用しない方には分かりづらく、場所ができても「ここは何?」と構える人もたくさんいると思います。長い時間をかけて認識され、色んな人が集まる場所になってくれれば、と思っています。

物件オーナーとして感じること

企業と比べ資本力が低い個人が、物件を活用するために頑張ることは厳しいと感じています。たとえ個人の力で良い物件に育てても、自分の物件の隣に企業がお金をかけて魅力的な物件を作ってしまえば、私達個人は負けてしまいます。そのため、なかなか勝負できないのが現状だと思います。最近まちなかに駐車場が増えているのは、需要があるのはもちろん、業者が全て担ってくれるので物件オーナーのリスクが少ない、という面もあると思います。

その点、リノベーションスクールはリノベーションにかかる初期費用を事業主が負担してくれることも多いので、物件オーナーの負担が少なく空き物件の活用が進むのでは、と感じています。

まちなかに感じること

市役所が10年20年と長い年月でみたまちなかのビジョンを考えるべきだと感じます。もちろんその時々にあわせて柔軟に変化させることが必要ですが、大きなビジョンがないと統一性がなく未来のためになりません。先を見越した政策が必要なのに、特にまちづくりに関してはなりゆきに任せているのでは?と思ってしまいます。

浜松は車社会だと言われますが、それは交通網が弱いことにあわせて不便な場所に施設があるため、車がないと移動できないからだと思います。私は一時期東京で生活していましたが、駅を中心にさまざまな施設が集まっていました。しかし浜松で新しくできる施設は動線(交通)のことを全く考えていないのではと感じます。こんなことになってしまうのは、長い年月でみたビジョンがなくなりゆきに任せているからなのでは?と思ってしまいます。

市役所が長期でまちなかのビジョンを考えてくれれば、私達物件オーナーはそのビジョンにあわせてテナントを考えていきます。どのエリアにどの事業が増えてほしいのかもう少し考えてもらいたいです。

また、私が若い頃には街区の協議会に参加し、まちをどうしたいか積極的に意見を発信しました。なかなか実現はしませんでしたが・・・。これからの時代を担う20代〜30代といった若者のアイデアを活かせるようになれば、とも思います。50年100年先を見据えたまちづくりをしていってほしいです。

取材をしてみて

まちづくりに熱い思いを持つ鈴木さんとのお話は時間がたつのが一瞬でした。「リノベーションスクールは物件オーナーにとって負担が少ない」というお話が印象的で、リノベーションスクールは物件オーナーにとっても大きなメリットがあるということを感じました。空き物件を持っているけど活用できていないという方、ぜひ一度市役所に相談してみてください!!

また、まちづくりにおけるオーナーの役割についてのお話では、「まず市役所がまちなかのビジョンを考えるべきだ」という言葉が、本当にその通りで耳が痛い話でした。私達市役所がビジョンを検討しつつ、物件オーナーと同じ方向を向いてまちづくりをしていきたいと思います。

ご覧いただきありがとうございました!

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